福祉用具は、介護を要する方にとって必要不可欠と言って良いほど便利なものであり、要介護者だけに限らず、日常生活に不便を感じている人にとっては生活の質を上げてくれる重要なものです。それらの「福祉用具」をご利用者に合わせてベストなものを提案したり、選択のサポートをするのが福祉用具の専門家である「福祉用具専門相談員」です。
今回は、「福祉用具専門相談員」の資格や仕事内容、働く場所について解説します。
福祉用具専門相談員とは
福祉用具専門員とは、福祉用具を利用する人に選び方や使い方を説明・アドバイスする専門職であり、介護保険サービスの「福祉用具貸与(福祉用具レンタル)」や「特定福祉用具販売」の指定を受けている「福祉用具貸与・販売事業所」において、常勤換算で2名以上の相談員配置が義務付けられています。
車椅子や電動ベッド、腰掛け便座や入浴補助器具など扱う用具は多岐にわたります。
福祉用具専門相談員の仕事内容
福祉用具専門相談員の仕事内容は、主に次の3つとなります。
細かい業務を加えると色々な業務を行うことになりますが、特にメインと言える3つについて解説します。
福祉用具のレンタル
福祉用具専門相談員の業務の一つは、「福祉用具貸与」に関しての手続き等を行うことです。まず、ケアマネージャーやご利用者(本人もしくは家族)からのご依頼でアセスメント(ご利用者の状態や使用環境などの聞き取り調査等)を行います。そして、その情報をご利用者の担当ケアマネージャーと共有しつつ、ケアプランに基づいて「福祉用具サービス計画」を作成します。その後、ご利用者に合わせた福祉用具を調整し、取り扱いの説明後に利用がスタートします。
利用が始まると、ご利用者の状況を確認するための「モニタリング」を定期的に行い、安全に利用していただけるよう保守・点検を行います。
福祉用具の販売・営業活動
福祉用具専門相談員は、ご利用者の用具利用に関する業務に限らず、販売や営業に関することも行います。
特定福祉用具(排泄や入浴に関する用具など)の販売や営業がメインであり、これらの販売を行う際には用具貸与と同じように「アセスメント」を実施、ケアプランに基づく「福祉用具サービス計画書」を作成、用具の調整や説明、モニタリングなどを行うことが必要です。
なお、特定福祉用具に該当しない用具の販売については、商品や料金の説明等も行います。
事務業務など
福祉用具専門相談員の業務は、書類の作成や管理、介護報酬や利用者負担の請求事務、保険者への代理請求事務、各メーカーとの連携(発注や納品など)もあります。レンタル手続きや営業などの業務に加えて書類作成や請求業務もあるため、月末月初は多忙になると言わざるを得ません。ただし、事務作業は金銭に関わることでもあるため、ミスなく確実にこなす必要があります。
その他の仕事内容や役割
福祉用具専門相談員の仕事内容は、前述したものの他に次のようなものもあります。
選定相談
福祉用具を必要としている方(要介護者や障がい者)の健康状態や生活状況を確認した上で、生活解除や自立に向けた用具を選び、提案します。
最終的にどういった用具を選ぶのはご本人(ご家族)ですが、福祉用具専門相談員には、「家族やご本人では気づかないような目線」での提案が求められることもあり、幅広いジャンルや用途の用具を知っておくのはもちろんのこと、常に各メーカーが出している最新の用具について知っておく必要があります。
選定相談では、ご利用者が用具を導入することで現状よりも安全かつ安心した生活を送ることができるように意識するだけでなく、介護者であるご家族の負担を減らすことも考える必要があります。
計画作成
レンタルや販売などを通じて、福祉用具の利用によってご利用者の悩みや課題を解決するための「福祉用具サービス計画」を作成します。
計画書はできるだけ具体的に、担当ケアマネージャーをはじめとした関係者との連携が欠かせません。福祉用具専門相談員は、福祉用具に関する専門職ですから、「他職種連携」の意識は常に持っておくようにしましょう。
適合・取扱説明
ご利用者(ご家族)が選ばれた用具を実際に使用する所へ持っていき、利用するリアルな環境において、本当に適しているかを最終確認します。実際に設置するからこそわかることもあるため、ご利用者(ご家族)が使用した時に心地よいか、介護しやすくなったかをチェックしていきます。
また、用具の説明は「説明書」のようになるのではなく、ご本人(ご家族)に寄り添った説明が重要です。最終的には適切な利用方法を身につけていただくことが重要であるため、「どんな説明が伝わるか」などを相手によって使い分けることが重要です。
モニタリング(訪問確認)
モニタリングは、ご利用者が福祉用具を適切に使っているかどうかを定期的に確認します。
また、道具の交換や修理などのメンテナンスも同時に行います。日頃からご利用者やご家族とコミュニケーションをとっておくと、モニタリングがスムーズに進み、短時間で深い話をすることができます。モニタリングはとても大切な時間であることを認識しておきましょう。
福祉専門用具相談員になるには
福祉用具専門相談員になるためには、都道府県知事が指定した研修事業者の実施する「福祉用具専門相談員指定講習」を受講する必要があります。講習のカリキュラムは7日間に分けて進められ、幅広く福祉に関することを学びます。
資格を取得する
講座の概要等
「福祉用具専門相談員」の指定講習は、福祉用具貸与事業所等において、福祉用具の選定の援助、機器の点検、使用方法の指導等に必要な知識及び技術を有する者の養成を行うことを目的として実施されます。
講習を修了して修了証明書の工夫を受けると、「福祉用具専門相談員」として認められます。なお、資格取得のためのカリキュラムは、主に次のようなカリキュラムで進められます。
- オリエンテーション
- 福祉用具の役割
- 福祉用具専門相談員の仕事内容
- 介護保険
- 介護保険サービス
- 高齢者の健康や日常生活
- 介護技術
- 生活環境に対応した住宅改修
- 福祉用具の特徴や使い方
- 貸与計画の作成方法
国家資格等を持っていると仕事ができることもある
医療や介護の現場で必要とされる国家資格の保有者は、「福祉用具専門相談員」の講習を受けていなかったとしても、資格保持者と同等の業務を行うことができる資格があります。
次の資格を持っている人は、ぜひ「福祉用具専門相談員」としての仕事にもチャレンジしてみてください。
- 看護師(准看護師)
- 保健師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 義肢装具士
これらの資格以外の場合は、指定講習を受ける必要があります。
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福祉用具専門相談員の将来性
就職先は?活躍の場は?
福祉用具専門相談員は、基本的には福祉用具貸与・販売事業所での勤務がメインとなります。
福祉用具を取り扱う事業所は、介護保険の対象となっている現場はもちろんですが、「訪問介護事業所」や「ホームセンター」「百貨店などの介護福祉用品コーナー」「ドラッグストア」などが考えられます。こういった場では、福祉用具専門相談員はとても重要な役割をになっているため、将来性は十分あると言えるでしょう。
また、工務店などをはじめとした住宅メーカーでも専門職としてのスキルを活かすことができます。この場合、「福祉住環境コーディネーター」という資格を持っておくとさらに有効です。以下、福祉用具専門相談員として活躍できる現場の一覧です。
- 福祉用具販売及びレンタル店
- ドラックストア及び生活用品店
- 訪問介護事業所
- 福祉用具メーカー関連
福祉用具専門相談員に向いている人は?
福祉用具専門相談員に向いている人の特徴としては、次のようなことがあげられます。
- コミュニケーションが得意な人
- 介護や福祉に興味がある人
- 観察力のある人
- 体力に自信がある人
- 話を聞くのが好きな人(好奇心が旺盛)
福祉用具専門相談員は、仕事の内容が多岐にわたり幅広く、コミュニケーションスキルも重要です。
前述したようなスキルは現場の経験があれば自然と身につくものでもありますが、福祉用具専門相談員として活躍したいと考えている人は積極的に身につけていきましょう。
やりがいを感じるところは?
福祉用具専門相談員は、ご利用者の生活を支えるメンバーの一員としてとても重要な役割を担います。
向き合う相手は人間ですから、マニュアル通りにいかないことの方が多いと思いますが、そんな中でご家族やケアマネなどの他職種と連携をとっていくことでご本人にとって最善の用具選びや提案ができると、感謝の言葉をいただくことは多々あります。
これが、この仕事のやりがいと言えるでしょう。
高齢者が増え続ける中でニーズはある!
福祉用具は、介護が必要な人や障害を持つ人にとって日常生活を支えるための重要な役割をになっています。しかし、ご利用者それぞれに用途や身体機能が異なるため、どういった用具が良いかどうかの判断は、とても難しいのが現状です。福祉用具専門相談員は、福祉用具の専門的知識や介護スキル、商品知識などからご利用者やご家族に最適なご提案をしていくことが役割ですから、福祉用具専門相談員のニーズはこれからも増し続けます。
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