未経験から介護職に挑戦しようと思うけれど、そもそも介護職に「向いている人」「向いていない人」はどんな人なのでしょうか。介護職として働きたいけれど、ミスマッチは防ぎたいという方への情報を含め、今回は求められるスキルや考え方、経験などを解説します。
介護の仕事とは
まずは、「介護の仕事とは」という基礎基本から振り返りましょう。
「今さら?」と思われるかもしれませんが、「向いている」「向いていない」はこういったことから把握できることもあります。
介護職の仕事内容
介護の仕事は、要介護者(要支援者)に対して日常生活を送る上で必要な援助を提供するお仕事です。主な仕事は「身体介助」と言われる食事や入浴、排泄などのサポートですが、施設がどういったサービスを提供するかによって業務内容は異なります。
【介護職の業務例】
- 食事介助
- 服薬介助
- 口腔ケア
- 入浴介助
- 排泄介助
- 着替え介助
- 体位変換
- 外出支援
- 在宅支援(調理、洗濯、掃除など)
- レクリエーション支援
こういった業務に加えて、支援内容の見直しや家族対応、通所であれば送迎も行うことになります。
なお、入所施設であれば24時間体制が基本となるため、夜勤もあります。
介護福祉士と介護士の違い
介護福祉士は、介護職の国家資格です。専門的な知識や技術を持ち、日々のケアに活用できることを証明するものであり、技術の指導やマネジメント、リーダー的な役割を担うこともあります。
それに対して介護士は、資格の有無に関わらず介護に携わるスタッフ全般のことです。
介護職に向いている人とは?
介護職に向いている人とは、どんな人でしょうか。内面的なところも含め、解説します。
①人と関わることが好き・尊重できる
介護職は、「対人援助職」とも言われています。
目の前の相手の食事や入浴、排泄をサポートする必要がありますから、人のことが好きであったり、相手に対するリスペクトがあるかどうかは重要です。
しかし、介護の仕事において、「相手に気に入られたい」という気持ちは不要です。
ご利用者に優劣はありませんから、全員に平等な気持ちで関わることが求められます。「Aさんは好きだけど、Bさんは苦手」という意識はどうしても生まれますが、介護という仕事においてはそういった感情は持たないようにしましょう。また、介護の仕事の多くは相手の生活スペースに入らせていただくことになります。
相手がどう思うか、生活環境に足を踏み入れるということがどういうことかを考えるなど、徹底的に相手の気持ちを尊重する意識は、忘れてはいけません。
「人と関わることが好き、尊敬できる」という思いは、介護職に向いている人として一番重要と言っても良いでしょう。
②気配りができる
介護の仕事では、ご利用者が「伝えたいことがあるけれどうまく言えない」「忙しそうにしているから」と我慢しようとすることがあります。介護の仕事では、ちょっとした表情の変化や「ずっとこっち(職員)を見ているな」と感じるようなことがあればすぐに声をかけてニーズを聞き取るなど、相手に対する気配りが求められます。
つまり、介護職は目の前のご利用者に対する介護に対しては事故怪我のない様に集中するのは当然ですが、移動中や雑務をしている時などについては、常にご利用者に対してアンテナを貼り続けておく必要があるのです。また、仕事を抱えて忙しそうにしている職員や、自分の手が空いていてサポートできそうな職員がいれば、積極的に動くことも求められます。
③コミュニケーションスキル
介護職には、コミュニケーションスキルが必須です。介護や支援において「無言」はありえません。
体調はどうか、これからどういった支援を行うのか、何をするにも相手とのコミュニケーションをしなければ、介護は成り立たないと言えます。コミュニケーションがしっかりできなければいけないというわけではありませんが、相手が困らないようなレベルのコミュニケーションは最低限必要となります。
口下手でも問題ありませんが、伝える気持ちは忘れないようにしましょう。なお、コミュニケーションはご利用者相手だけでなく職員同士でも必要不可欠です。日々の業務だけでなく緊急時においても、お互いが常にコミュニケーションを取れているかどうかが重要です。
④責任感がある
介護に限らず、仕事においては「責任感」は求められます。特に介護は、介護士の動きや支援一つひとつがご利用者に良くも悪くも影響を与えます。そのため、介護士の言動一つ一つに責任が生じるという意識は常に持たなければなりません。
「とにかくやればいい」「仕事はこなせばOK」という感覚は、ご利用者の身の危険に関わることになりますし、最悪の場合には命に関わることになります。
⑤学ぶ意識が高い
介護においては、日常生活や医療関係(病気や薬など)の知識や介護技術を身につける必要があります。ご利用者それぞれにかかる疾患は違い、症状によって食事や薬、日常生活での注意点などを考えながら支援していかなければなりません。
また、ご利用者の嗜好なども覚えておく必要もあるため、積極的にコミュニケーションをとりつつ学んでいくことが求められます。
さらに、ご利用者に合わせた福祉用具の使用によって生活改善を図る必要もあるため、常にいろいろな情報を得ておくことも意識しておきましょう。
⑥土日祝でも気にせず働ける
介護職は、土日祝日や年末年始、連休など関係なく働くことになります。場合によっては土日祝日になかなか休みが取れなかったり、ゴールデンウィークや年末年始も働かなければならない、夜勤をしなければならない可能性もあるため、介護職として働くということは「定まった休みがない」という認識は持っておきましょう。
「確実に土日休みや連休が欲しい」「年末年始は休みたい」という人には向いていません。
介護職が向いていない人
では、介護職が向いていない人や仕事につくことをオススメしない人は、どんな人なのでしょうか。主なポイントとして5つ挙げて解説します。
①潔癖症な人
介護職の仕事は、食事や入浴、排泄などのサポートがメインとなります。そのため、どうしても汚れてしまうことがあります。手や服が汚れてしまったことが気になって、それが表情に出てしまうだけでも鋭いご利用者は気付き、辛い思いをしてしまうことがあります。少しでも汚れることが嫌な人や受け入れられない人は、介護職は向いていません。
②自分のペースで働きたい人
介護職は、自分のペースで働くことがほとんどできません。施設内の一日の生活リズムや流れはある程度決まっていますし、あくまでもご利用者のペースで動くことになるため、一日のスケジュールや流れを職員それぞれが自由に決めて動けるわけではありません。施設によっては、その日の勤務によって午前・午後とやることが定められていることがあります。なお、間違ってもご利用者が職員に合わせるようなことがあってはいけません。
③短気な人
気の短い人は、介護職に向いていません。
ご利用者がゆっくり動くことや食事を取らないこと、何度も同じことを聞いてくるなど、イライラとしてしまう気持ちになるのはわかりますが、そこで起こることはNGです。そういった場面もどっしりと構えて受け入れ、ご利用者に合わせて行動していくことが求められます。
怒りを表現したりご利用者にぶつけることは、虐待案件になることも考えられます。
④体力や健康に自信がない人
介護職は、体力仕事です。ご利用者の身体介護はかなり体力を使うことがありますし、入浴介助は暑い中で集中して支援をする必要があります。
また、夜勤をこなす上でも体力が必要になります。さらに、介護職はご利用者と常に関わるため、風邪や感染症などに感染しないよう注意する必要があります。体力や健康に自信がない人は、介護職はオススメできません。
⑤自分中心に物事を考える人
②に関連することですが、「自分中心に物事を考える人」は介護職に向いていません。介護職は、相手中心に物事を考える必要があります。
「ご利用者はどう思うか」「どうすれば日々の生活が良くなるか」を意識して仕事をすることができるかどうかは、介護職の仕事の基本と言えるでしょう。
ただし、相手中心に考えることと「自分を犠牲にすること」は違います。ご利用者の生活のために自分の時間や休みを犠牲にしたりすることはありませんので、注意が必要です。
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他業界からの転職で活かせるスキル
他業界から介護職に転職する人は、どういった経験やスキルを活かせるのでしょうか。今回は、「営業」「事務」「接客」といったスキルに注目したいと思います。
営業スキル
相手と積極的にコミュニケーションをとっていく必要がある営業職は、自分達の考え方やサービスなどをご利用者やその家族へ伝えるスキルなども長けているため、介護職としても武器になります。
事務職スキル
介護士の業務では、パソコンやタブレットなどを活用した仕事もあります。
事務職の経験が豊富な人はパソコンスキルや管理業務に慣れている人が多いため、施設の事務担当や備品管理担当などのポジションでスキルを発揮できます。その他のスタッフをサポートしたりする存在として重要です。
接客・接遇・おもてなしスキル
接客業で得た経験やスキルは、介護職としても十分力を発揮できます。
日々の介護やケアを行う中で、ご利用者やご家族との関係性が重要であることは多いです。また、他スタッフとの連携等においても、コミュニケーションスキルが高い接客業の経験者は大きな問題なく連携を取ることができるでしょう。その結果として、円滑に仕事を進めることができるようになります。
保育・教育関連
保育士や幼稚園教諭、教師としての経験も介護士としての業務に活かせます。保護者との連携や他の教師と協力によってイベント等を作り上げた経験は、介護士としても間違いなく活用できます。
また、相手に合わせた言葉遣いや伝え方に関するスキルも高いため、そういったスキルも十分武器となるでしょう。
なぜ他業界から介護職へ転職するのか
介護職は、他の職種と比べると給与水準が低いと言われています。処遇改善などによって少しずつよくなってきていますが、それでも「高い」とは言えません。ですが、それでも介護職を志す人がいるのは、なぜでしょうか。
正社員求人が多い
実は、介護職は慢性的な人材不足であることから正社員募集の求人が比較的多くあります。また、最初はパートや契約社員から始まったとしても、社員登用の制度がしっかりしているところも多いため、頑張り次第でキャリアを高めていくことができます。
これからも無くならない仕事
介護職は、これからも無くなることはありません。介護職への転職を考える人は、急に会社が倒産し、安定した業界で働きたいという思いがあるようです。また、ある程度の年齢でも未経験から採用されやすいこともあって転職を考える方もおられます。
未経験からでも十分スキルを高められる
介護士にとって必要なスキルは、現場で働きながら高められます。なお、実際に業務をしなければわからないこともあり、現場でどれだけ前向きに学べるかどうかが重要です。
また、日常生活でやっていることが役に立つこともあります。家で電球を変えた経験や掃除機をかけること、DIYなども介護士の仕事に生かせます。
ブランクがあっても復職できる
介護職としての経験があれば、妊娠や出産、病気や家族の介護などで離職しブランクがあったとしても採用されやすいというメリットがあります。また、介護士は全国どこでもスキルや考え方が大きく変わることはありませんから、働きやすいというメリットがあります。
自分の家族を介護するときに活かせる
介護士としての経験や知識は、自分の家族を介護するときにもフル活用できます。最近では、ご自身が介護する立場になることを想定して介護士になる人もいるようです。また、ケアマネージャーをはじめとした関係者とのコミュニケーションが取りやすくなることから、施設やサービス利用の手続きがスムーズに進められます。
未経験で介護職に転職するにあたってのポイント
異業種から未経験で介護士になることは不可能ではありません。
ですが、少しでも自分に合った職場を探したり、転職に有利になるような状態を作るためにはどうすれば良いでしょうか。
研修がちゃんとしているか
介護士として働くにあたっては、介護スキルや知識が重要になります。未経験の人が介護士として働くにあたっては、実践を重ねていくことで経験を積み重ねていきますが、研修制度やフォロー体制がどこまで整っているかどうかは働きやすさに直結しています。また、訪問介護については一人で現場に入っていかなければならないことになります。そういった面からでも、事業所や施設全体でスタッフをサポートしたりサービスの質向上に取り組んでいるかどうかはチェックしておきましょう。
可能であれば資格取得しておく
介護職は、無資格未経験で働くことができます。しかし、無資格未経験ではできることも限られてしまうため、「介護職員初任者研修」の取得をオススメします。この資格は、介護士として働くための入門資格であり、一定のスキルや知識を持っていることが証明されますから、転職するときには取得しておくと良いでしょう。なお、「介護職員初任者研修」は1〜4ヶ月の研修期間(約130時間)を経て資格を手に入れることができます。受験資格はないため、誰にでも取得するチャンスがあります。就職してから取得支援をしてくれるところもありますので、確認してみてください。
挑戦する価値のある仕事
介護職は、対人援助職であることから「向き不向き」はあるものの、これまでの人生経験が無駄になることなく様々な場面で活かすことができます。介護士としての経験や知識・スキルも自分の人生に活かすことができますので、メリットが多いと言えるのではないでしょうか。少しでも興味がある人、「向いているな」と感じることがあれば積極的に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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