介護とは?言葉の定義・意味合い|介助・看護との違いを徹底解説

「介護の意味は何となくわかるけど、具体的なやり方はわからない」
「介護において大切なこととは?介助や看護との違いは?」

このような悩みや疑問はありませんか?介護とは、高齢や心身の障害などで日常生活を快適に送れない方に対し、生活援助や身体介護などのサポートをすることです。介護は身体的な援助だけでなく、精神的なサポートも含まれます。

日本は特に高齢化社会が進んでおり、それに伴い介護を必要する世帯も増えています。早くから介護の知識・技術を身につけておけば、多くの方が経験するご家族の介護に活かすことができるでしょう。

また、その技術を活用して介護職に転職することも可能です。そこで今回は、介護の定義や意味、介助・看護の違い、介護職で大切なポイントを解説します。

介護とは?言葉の定義・意味

介護とは、高齢や心身の障害などによって日常生活を快適に送れない方に対し、生活援助や身体介護、社会活動のサポートをする行為のことです。一般的には身体的な援助をイメージしがちですが、介護という行為には精神面のサポートも含まれます。

具体的な内容としては、食事介助、排泄介助、入浴介助、着衣介助などが挙げられます。これらの行為はあくまで日常生活の自立が目的なので、要介護者に対して一から十までお手伝いするのではなく、必要最低限の援助をすることが大切です。

介護と介助の違い

介助は、対象者の身体的なサポート全般を指します。具体的には、食事介助や排泄介助、歩行介助など、日常生活のさまざまなサポートであるため、介護と内容が似ているのが特徴です。

しかし、介護は精神面や社会的サポートも含むため、介護は介助に比べて大きな意味合いを持ちます。

介護と看護の違い

看護は、健康状態に回復するまでのサポート全般を指します。日常生活を快適に過ごしてもらうための介護に対し、看護は医療行為の対応が可能です。

例えば、怪我や病気の処置、排泄時の人工肛門の使用、尿道カテーテルの挿入などが挙げられます。

介護において大切なこと|介護の三原則

介護は対象者の支援をただ行うだけでなく、精神面で寄り添うことが大切です。また、介護を実行する際には、以下の「介護の三原則」が重要となります。

三原則①:生活の継続性

生活の継続性は、これまでの生活環境や習慣を変化させず、いままでの生活に近い暮らしを継続できるよう援助するという考え方です。

介護が必要になったからといって、何十年と住み慣れてきた環境を一気に変化させてしまうと、対象者の大きなストレスになってしまいます。ストレスを抑えて穏やかに過ごしてもらうためにも、以前の生活習慣を継続してもらうことが大切です。

三原則②:自己決定の尊重

自己決定の尊重は、対象者自らが老後の暮らし方を選択し、その選択を尊重するという考え方です。介護する側の都合で暮らし方を決めず、対象者の意思で「どのように生活を送りたいのか」を決めてもらいます。

対象者の意思を尊重して最低限の援助をすることで、日常生活をより快適に過ごしてもらえます。そのためにも、対象者の本心を引き出せるよう、介護する側の配慮が必要不可欠です。

三原則③:残存能力の活用

残存能力の活用は、対象者の今ある能力を最大限に活用し、できることは本人に行ってもらうという考え方です。そもそも介護は、援助を必要とする者の自立を促すのが目的です。

介護する側の都合で何から何までサポートすると、対象者の残存能力を低下させ、さらに介護を必要する状態まで悪化させてしまいます。残存能力を低下させないためにも、対象者ができないことのみをサポートしましょう。

介護の仕事|さまざまな職種と活躍の場

介護を仕事として取り組む介護職。この介護職には複数の魅力があります。例えば、未経験・無資格でも始められる、都合に合わせて働き方を選択できる、職を失うリスクが低い、将来的に技術を活かせる、などが挙げられます。

また、一言で介護職と言ってもその種類はさまざまです。介護職の代表的な職種は、以下のようなものがあります。

職種内容
ホームヘルパー(訪問介護員)・利用者の自宅に訪問して生活援助や身体介助を行う
・活躍するためには介護職員初任者研修の資格が必要
介護福祉士・介護職員のスペシャリストとして介護全般と利用者の相談対応を行う
・介護資格で唯一の国家資格である介護福祉士が必要
ケアマネージャー(介護支援専門員)・ケアプランの作成や介護サービス事業所との調整を行う
・活躍するためには介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要がある
生活相談員・利用者やそのご家族の相談対応、入退所の手続きやケアマネージャーとの連携を行う
・社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかが必要
サービス提供責任者・利用者やそのご家族との面談対応、ほか介護職員の業務管理や指導を行う
・必要資格は介護事業者によって異なる
介護事務員・介護給付費明細書の作成や介護給付費請求業務が主な仕事
・介護資格は必須ではないが、さまざまな関連資格が存在する
機能訓練指導員・日常生活で必要な機能を維持するための機能訓練を利用者に指導する
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師のいずれかの資格が必要

基本的な介護職員であれば、資格や経験は必要ありませんが、職種によってはそれに応じた介護資格が必要です。

職種ごとの必要資格については、「介護職員に就任するためには資格が必要?業務で役立つ介護資格を詳しく解説」にて詳しく解説しています。

介護職員が活躍する場所

介護職員が活躍する場所はさまざまです。主な活躍の場としては、以下のような場所が挙げられます。

場所特徴
有料老人ホーム・民間企業が運営しており、入居費用は比較的高め
・自立〜要介護5まで入居可能
特別養護老人ホーム・社会福祉法人や地方公共団体が運営している
・入居条件は要介護3以上
デイサービス・日常生活の援助を日帰りで受けられる
・入浴や食事のほかにも、利用者同士のレクリエーションを楽しめる
グループホーム・基本的に65歳以上の認知症を持つ方が対象
・利用者同士が協力して日常生活を送る少人数の施設
介護老人保健施設・住宅復帰までの自立支援を行う施設
・長期入院から自宅に戻るまでの期間に利用されることが多い
ケアハウス・自宅生活が困難な方が生活支援サービスを受けながら暮らす施設
・費用は比較的安く、自立型と介護型の2種類に分けられる

そのほか、サービス付き高齢者住宅、介護医療院、シニア向け分譲マンションなど、複数の介護施設が存在します。働く場所によって業務内容も異なるため、自身の働き方に合った施設を見つけましょう。

介護の仕事で重要となる5つのポイント

介護の仕事で重要となるポイントは以下の5つです。

  1. 常に周囲の様子に気を配る
  2. 自分本位で仕事をしない
  3. コミュニケーションを大切にする
  4. 利用者には誠実な態度で接する
  5. ケアプランをしっかり確認する

介護職に興味がある方は、以下の重要ポイントをご確認ください。よりスムーズに業務に取り組めるはずです。

ポイント1.常に周囲の様子に気を配る

1つ目のポイントは、常に周囲の様子に気を配ることです。利用者は転倒しやすく、危険と隣り合わせで生活しています。施設で働いている介護職員が様子を気にすることで、転倒や事故が起こりそうになっても瞬時に対応できます。

また、介護施設は職員より利用者の人数のほうが多いため、同じ利用者を対応し続けることはできません。そのこともあり、広い視野を持って意識し続けることが重要です。

ポイント2.自分本位で仕事をしない

介護職員は自分本位で仕事をしてはいけません。介護は単純な身体介護だけでなく、精神面の援助も必要です。自分本位で利用者に寄り添わない介護をしてしまうと、利用者との信頼関係も築けません。

介護職はシフト制で業務が分担されており、時間に余裕がなくなることが多々あります。そんな状況でも介護の本質を思い出し、利用者に寄り添った対応を心がけましょう。

ポイント3.コミュニケーションを大切にする

コミュニケーションを大切にすることも忘れてはいけません。利用者とコミュニケーションを都度取ることで、その利用者にとってのより良い介助に繋がります。

また、コミュニケーションによって信頼関係を構築できれば、お互い楽しい時間を過ごせます。そして、このコミュニケーションは利用者だけでなく、職員同士の意思疎通も重要です。仕事を円滑に進めるためにも、積極的に声を掛け合い、協力して業務を遂行させましょう。

ポイント4.利用者には誠実な態度で接する

当たり前ですが、利用者は人生の大先輩であり、同時に施設の大切なお客様です。ファーストネームで呼び合ったり、友達口調で話したりする行為は、相手の尊厳を傷つける可能性があります。

そのためどんなに仲が良かったとしても、利用者には誠実な態度で接するよう心がけましょう。相手を思いやる気持ちは介護業務にもあらわれるため、尊敬する気持ちを常に持っておくことが大切です。

ポイント5.ケアプランをしっかり確認する

5つ目のポイントは、ケアプランをしっかり確認することです。要介護度や利用者に応じて、介護のやり方が異なります。正確かつ良質な介護をするためにも、ケアプランに記載されている内容を必ず確認しましょう。

例えば、利用者の左腕が麻痺で動きにくい場合、介護をするときには左腕への配慮が必要です。また、利用者1人ひとりにケアの目的が決められていることもあるため、ケアプランは介護をする上で非常に重要です。

まとめ

本記事では、介護の意味や定義、介護職の種類、介護職での重要ポイントを解説しました。

介護は身体的な援助だけでなく、精神的なサポートも含まれます。対象者と十分なコミュニケーションを取ることが大切で、その上「生活の継続性」「自己決定の尊重」「残存能力の活用」の三原則を意識する必要があります。

一言で介護職と言っても、職種や活躍する場はさまざまです。ご自身に適切な働き方を見つけるためにも、本記事で解説した内容を参考にしてみてください。

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